春がすぎれば

朝起きてシャワーを浴び自転車の手入れをして、スーパーマーケットに出かけて買い物をしてそれからずっと家にいた。映画を見て料理をして掃除をしても時間は余る。文章を書こうとするが、どれもこれも自分が書くべき文章のように思えず消してしまう。

本記事は加筆修正のうえ『さよならシティボーイ』に収録されています。WEBでの公開は停止しております。

日々は日々の桜並木

外でおちおちくしゃみもできないので、家の中で爆音のくしゃみをした。くしゃみ。この牧歌的な生理現象に、今何よりも恐ろしい形容がついてまわっている。自分の体液に、大切な人を死に追いやる粒子が入っている可能性なんて、今まで誰が意識したことがあるだろう。

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メジロを拾った日

自宅から1kmくらい離れたところにある大型の郵便局に受取人指定郵便物を取りに行く途中、歩道に面したビルのガレージに、よもぎ色のふわふわしたものが落ちているのが見えた。メジロの死骸だった。

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