眠る前の話

何かやり残したことがあるような気がして眠る気になれないのに、体が勝手に非生産的なことを始める。漫然とスマホをもてあそぶ。文庫本を開いてろくに読まないまま机に置く。ソファの上であぐらをかいたり足を下ろしたりする。音楽を聞きたくなってスピーカ…

傷つけられた人へ

誰かのしたことでちょっと傷つくことがあった。それを猛烈に批判する意見をTwitterで見かけ、ついその意見に乗っかって、傷つけられた悲しみを呟いて怒りを表明しそうになった。が、すんでのところで僕はそれをこらえた。地下鉄に揺られながら、何度も何度も…

「私、結婚できるのかなぁ」

Instagramを見たら高校生の時に付き合っていた女の子が結婚していた。特別な感慨もなくいいねをしてから1ヶ月くらい経った今、彼女が僕に別れを告げるとき「私、結婚できるのかなぁ」と言っていたのを唐突に思い出した。◇この世にはおよそ半々の比率で男女が…

大丈夫になった日

立ち上がると足が震えるほどテレビゲームをやって、エコバッグに財布だけ入れてアパートの外階段を下り自転車にまたがった。暮れかかった空は薄青く、その色を写し取ったような涼気が辺りを満たしていた。水彩画のような空に浮かぶ月を見た。満月に少し足り…

心に「ギャル」「OL」「ボーイ」を住まわせる

毎日を機嫌よく過ごすことから全てを始めなければいけないと思った。複数のプロジェクトのピークが重なり会社で個人的繁忙期を迎えていた僕は、ここのところ激流を遡行する鮭のようにかろうじて毎日を生きていた。朝起きる。シャワーを浴びる。会社に行く。…

高校を卒業してから21歳になるまでの自分を殺してしまったことについて

初めて詠んだ自由律俳句は あんなカーテンがほしいと空を見てで、それが詠まれたのは高校2年生の春だった。その時習っていたこと、100m走のタイム、友人関係、ヒットソング、何一つ覚えていないけど、「あんなカーテンがほしいと空を見て」という句が生まれ…

エモいとは何なのか

気付けば皆「エモい」と言うようになっているがそもそも「エモい」ってどういう意味なんだろうか。という素朴な疑問に「古語の"をかし"や"あはれ"と同じだよ」みたいなことをしたり顔(想像) で返す人もいるが、微妙に納得できるようでできない。"をかし"が日…

幸せを問いかけてくれた人へ

少し前からTwitterで質問箱を公開していて、ゆっくりと答えている。質問に答えるというのはいつだって楽しい。今まで答えた質問の中のひとつに、こんなものがあった。 小さなしあわせを大事にするのは寂しいことですか? 回答する時もずいぶん悩んだけど、あ…

「笑ってもブス」

僕には弟子がいる。ここでは彼をN君と呼ぶ。どこでどのように弟子をとったのかとかそういう話は置いておいて、N君も自由律俳句をたしなんでいるのだが、彼は5年ほど前、弱冠19歳にして僕が生涯超えることのできないであろう傑作を詠んだ。 笑ってもブス この…

人が死ぬということ

大杉漣の訃報をニュース速報としてスマートフォンが受信したとき、僕は人のまばらなオフィスで残業をしていた。デスクでひとり控えめに驚いて、区切りのいいところまで仕事を進めて退社し、成城石井で夕飯を買って家に帰って食べた。シャワーを浴びて歯を磨…

メルカリに売られないプレゼントの選び方

(※急いでいる人は太字だけ読んでください)竹内まりやも歌い始めているが1年で最大のギフトシーズンが今年もやってくる。メルカリをはじめとしたフリマアプリの普及により「いらないプレゼントの見える化」が爆発的に進んだ結果、昨年は怨嗟の声があらゆる方…

夜の飯田橋と銭湯、あるいは川底の街

日曜日だったけど日程の動かせない仕事があり、午後から夕方まで働いていた。仕事を終え、飯田橋でカレーを食べながら僕は、「今日は銭湯に行くしかない」と思っていた。日曜夜の飯田橋は人影もまばらで、閑古鳥の鳴く鳥貴族以外にはほとんど居酒屋も閉まっ…

ベランダにオランウータンがいた

夢の中で僕は、昔家族と住んでいたマンションの部屋にいて、開けっ放しのベランダに面した窓からは、オランウータンの赤ちゃんがハイハイで侵入してくるところだった。 僕は慌ててオランウータンの赤ちゃんを両手で抱え、足でがらがらと窓を開けてベランダに…

BUMP OF CHICKENについて語るときに僕の語ること

僕くらいの歳の人間がBUMP OF CHICKENについて語り始めるときの、あの初恋を思い出す老人のような声の震えは何なのだろう。BUMP OF CHICKENとの出会いは人それぞれあるものの、当時流行っていたFLASHムービーで『ガラスのブルース』『K』『ダンデライオン』…

プラネタリウム

※以前やっていたtumblrからの再掲です 記: 2014年8月最近イヤホンを買った。買ったというか変えた。大学生の時に使っていたやつがついに聞こえなくなってしまったので、思い切って値段も評判もいいヤツにした。前のイヤホンが4個買える。良いイヤホンってほ…

"職業"+"アイテム名"のファッションアイテムはかっこいい

ファッションアイテムの名前はかっこいい。特に、"職業"+"アイテム名"という建てつけでできている名前は最高だ。 エディターズバッグ オフィサージャケット ポストマンシューズ フィッシャーマンセーター かっこよすぎる。ファッションデザイナーの小野塚秋…

『パターソン』感想 - ポエムを笑う人も詩に生かされている

角川シネマ新宿で、映画『パターソン』を観た。http://paterson-movie.com/paterson-movie.comTwitterのタイムラインで「見た。よかった」と言っている人が多かったのと、週末の予定がたまたま決まっていなかったのと、公式サイトを覗いてみて好きそうな雰囲…

"甲類ビール"の美味さ、あるいは耳垢で耳が聞こえなくなった話

早いもので兼業ライターを名乗り始めて1/3年が経ちますが、ようやく書く仕事をすることができました。news.mynavi.jpこれは本当に美味しいしビール好きもホッピー好きも目先の違う味を楽しめるのでオススメなんですが、素面で仕込んでいる時の本末転倒感は若…

雨の生き物

長い雨に街が煙っている。高いところから(たとえばデパートの最上階の喫茶店などから)その様子を見ると、古い映画のノイズのような雨の線の中に、何かがうろうろと宙をさまよっているのが見えるだろう。長く雨が降り続けるとき、その街の上空には雨の中でし…

もう「モテるでしょ?」って聞くのやめませんか

飲み会でわいわいと楽しく飲んでいる。ツヨシくんが元カノの話をしている。はちみつジンジャーハイボールを飲みかけた女の子がジョッキを持った手を下げて、「でもツヨシくんモテるでしょ?」と聞いた。ツヨシくんは「いや~~モテないよ全然」と答えた。彼の…

ラッパーの遺言

ラッパーの遺言を聞いた。 「YO……YO……」 うん、うん。 「YO……俺は……」 うん。 ラッパーは僕の腕の中で息絶えようとしている。 自慢のドレッドヘアは、枯れ果てて茶色く変色しパリパリだ。 彼はすべての力を振り絞って、僕に最期の言葉を遺そうとしているのだ…

カップルはデート後のLINEをやめよう。幸せになれるかもしれない

今の彼女とはほとんどLINEで連絡を取り合っていない。もっぱら、週に(大体)一度会うときの集合場所や時間を決めたり、当日に到着の連絡をしたり、撮った写真があればそれを送ったり(彼女は写真嫌いなので最近はそれもあまりない)という程度だ。それを人に話…

半妄想転職旅行記・箱根編 その1

※この文は実際の一人旅に架空の道連れが居たら、という妄想を織り交ぜて書いたフィクションです どこでもいいから温泉のある土地へ一泊の旅行に出かけようと決めて、消去法で箱根になった。6月半ばのある晴れた日、僕は帆布のボストンバッグと帆布のトートバ…

石川県・転職旅行記2

前回はこちら comebackmypoem.hatenadiary.com ちょうど地元の高校の下校時間と重なり、七尾線の車内は高校生でごった返していた。中・高と都心の男子校で育った僕は"田舎の高校生"という生き物を全く見慣れておらず「笑ってコラえて」のダーツの旅に登場す…

石川県・転職旅行記1

「間違って入っちゃって」 繰り返しの更新ですっかり印字のかすれたPASMO定期券を受け取った快活な女性駅員は、あぁ、と声に出さず呟いたように見えた。まだ若い。20代前半に見える。 「もう、戻ってきませんか? またきますか?」 神妙な言葉遣いだな、と思い…

「床磨く日々」が僕たちを救う

昔こんな詩を書いたことがある。 僕は棲む 海辺の家に 雲のあり方を見つめる 波間に老人の唄を聴く 床磨く日々をいつくしむ これは最後の一連で、本当はもっと長い詩だ。今住んでいるのは文京区のアパートで海辺でもなんでもないけど、ずいぶん前から僕の志…

サンドイッチとロックアイスを入れたアイスコーヒー

「都心真夏日か」と明るいニュースに彩られた穏やかな日曜日の昼食にふさわしいのはサンドイッチとロックアイスを入れたアイスコーヒー以外にはあり得ない。この結論は起床から15分で出た。窓を開け放ち軽く床を掃除して洗濯機を回しシャワーを浴びてパンツ1…

記事を3つ書く間に彼女ができた

タイトルが全てなのだがそういうことになった。comebackmypoem.hatenadiary.comこの記事を書いたときの僕はまぁ一応それなりに落ち込んでおり、それなりに反省することもあり、そしてそれなりに疲れていたのだが当時の自分にはそれが気づけなかったみたいだ…

自由律俳句は俳句じゃないと思っている人へ

自由律俳句、特に無季自由律俳句は、「ただの文じゃん」「俺でも書ける」という批判にさらされることが多い。韻文をかじった人の中には自由律に対しても理解がある人が多いが、それは詩の文脈に自らを置いているからいわば「詩をかぎ分ける嗅覚」のようなも…

男子校出身者の恋と最後の戦場

shiho氏のこの記事を読んで非常に思うところあり、男子校出身者としての所見を述べてみようと思う次第だ。note.mu◇うんこを漏らした記事でも触れたが、僕は中高6年間、都内の一貫校に通っていた。男子校である。うんこを漏らした翌週はからかわれこそされた…