"甲類ビール"の美味さ、あるいは耳垢で耳が聞こえなくなった話

早いもので兼業ライターを名乗り始めて1/3年が経ちますが、ようやく書く仕事をすることができました。

news.mynavi.jp

これは本当に美味しいしビール好きもホッピー好きも目先の違う味を楽しめるのでオススメなんですが、素面で仕込んでいる時の本末転倒感は若干否めず、しかしそのある種の背徳感が1口目の感動を増幅させる面もあり、まこと人生の妙味といった具合の飲み物であります。

マイナビニュース上だとなぜか写真の色味が死んでおり、担当編集氏と話し合った結果「すなばさんの納品方法が悪い」という結論に落ち着いたので次回からは十分に留意しようと思いますがここで少し写真を載せておきますね。

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これが

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こうなって

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こうなって

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こうなる。こいつはオールフリーの甲類ビールですが、

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これがドライゼロで、ちょっと銅色がかったというか、鈍い色合いをしているのがわかるでしょうか。

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そしてこれがキリンのゼロイチ。3種の中では一番明るくてキラキラしていました。

だから何だという話ですが。

会社勤めをしながらなので稼働日の制限は若干ありますが、お仕事の依頼は随時受け付けていますのでお気軽にご相談くださいね。問合せはこちら

ですます調のライター文体が抜けないまま、ついでに最近のことを書こうと思います。

ここのところ病院にかかる機会が多く、第一次は8月後半ごろに耳が聞こえなくなり、「まさか新しい環境でのストレス性難聴」と思ったのですが現職の環境はストレスと無縁なので原因が分からず「俺って、張り詰めた空気の中でしか生きられないのカナ……」と打ち上げ花火を眺めながら彼女にこぼしたりしていたのですが(何度思い出しても恥ずかしい)、何のことはなく「耳垢の化石が外耳道を完全に塞いでいた」という話でした。

ちょっと想像してみてほしいんですが、突然耳の聞こえが悪くなって、日を追うごとにそれが悪化し、ついには高音域がほとんど聞き取れずそれ以外の音も木造アパートの隣室から響いてくるようにしか聞こえなくなって、「これは何かしらのヤバいやつに違いない」と確信するに至り不治の病に侵された三浦春馬のごとく彼女に「俺って(略」などとこぼした翌々日に会社を抜け出し「俺はどうなってしまうんだろうか」と不安を抱えながら耳鼻科に行ったら秒で「耳垢ですね」と断定されるの、精神の波形が見たことない動きをしますよ。

あと皆さんが確実に思っているであろうことを予測して言い訳させてもらうんですが、耳掃除は定期的にしていました。いやほんとだから! 本当! しかし堀り進めが甘かったり太い綿棒で掃除していたりするとかえって耳垢を奥に押し込んでしまうことになり、そうなると簡単には除去できないので外耳道の奥で3留目なのにずっと部室にいるめんどくさい先輩のようになってしまうそうです。僕の耳も金曜日の高田馬場みたいになってました。

治療はというとシンプルに極細の掃除機みたいなやつで吸い出すというアプローチが取られるんですが、最奥部の先輩(耳垢のことです)は既にカチコチに態度を硬化させており「俺は死んでも社会には出ん」とでも言いたげに鼓膜と半ば癒着しこの道30年(想像)の女医さんも「これ以上は鼓膜がヤバい」といって吸引を断念。ほとんど除去できず絶望する僕に「点耳薬を出すので3日間服用したらまたきてください」と耳に差す目薬のようなものを処方してくれました。

それは耳垢をふやけさせて柔らかくする薬で、朝晩と3滴程度耳の中に滴下し、片耳ごとに5分ほど横になって耳垢に馴染ませます。したがって、

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服用中はこのようになります。

これを3日間続け、先輩がどうにかなったような実感の全くないまま耳鼻科を再訪すると、耳を覗き込んだベテラン女医が「ふむ……、よし」とスイスの時計職人のような声で僕を勇気づけ、「それでは吸引していきますね」と耳の穴に吸引器を突っ込み、ほどなくして「ギュウイイイイイイイイイイイ」という轟音が耳の中に響き、耳の穴の最奥にある"何か大事なもの"が強烈に引っ張られる感覚を感じていると突然目から風が吹きました

「はい、片方とれました」

声がめちゃめちゃ大きく聞こえる!!!

それは"生誕"でした。

本当に生まれ変わったような心地でした。

先生の声だけでなく、看護師の動きに連動する衣擦れの音、室内履きが床にこすれる音、全てが強烈にクリアに聞こえました。正直言って、この時点で僕は(聞こえすぎて怖い)と思っていました。

目と耳と鼻が繋がっているのは有名な話ですが、耳垢がとれると吸引器が生み出す強烈な気圧差が眼球の奥にまで及び、ちょうど目尻のあたりから隙間風がぴゅうぴゅうと吹くのです。目から風が出たことありますか? 俺はある。

そんな感じでもう片方の先輩も取れ、最後に細かい先輩を除去して消毒してもらい(外耳道は炎症を起こしていました)、先生に「向こう1か月は耳掃除しなくて大丈夫ですから」と心強いことを言われて病院を後にしました。

その後ったらもうすごかった。外に出たら10mくらい先にいる通行人が手に提げているビニール袋が擦れる音が異常に大きく聞こえるし、自分が首に提げている社員証がシャツに擦れる音もまるで耳元でかき鳴らされているよう。治ってみて初めて、高音域がほとんど聞こえていなかった事実に気づかされるのでした。

治癒直後の異常な感覚の鋭敏化は1週間くらい続き、現在は(おそらくは)常人と同じくらいの音がする世界で生きています。

この後、原因不明の症状で病院に行く話があと2つあるんですが、長くなってしまったので続きはまた今度にします。

書く仕事ください(念押し)。


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筆者: すなば
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