「笑ってもブス」

僕には弟子がいる。ここでは彼をN君と呼ぶ。

どこでどのように弟子をとったのかとかそういう話は置いておいて、N君も自由律俳句をたしなんでいるのだが、彼は5年ほど前、弱冠19歳にして僕が生涯超えることのできないであろう傑作を詠んだ。

笑ってもブス


この句を初めて見た時、僕は「ひでえ句だなぁ!」とひとしきり笑った。その後落ち着いて、胸になお重石のように残るこの句を反芻し、「いや、ほんとうにこれはすごい」とN君に言った。

「すごい自由律俳句だ」

「きみは天才かもしれない」

N君は「え?」と言っていた。

本記事は加筆修正のうえ『さよならシティボーイ』に収録されています。WEBでの公開は停止しております。

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筆者: すなば
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