猫の生、詩の嘘

実家では猫を二匹飼っていて、いやこの表現は正確ではなく、僕はかつて猫を二匹飼っていて、僕が家を出た時、自然にその二匹の猫の命は父と母に託された。そのうちの一匹が少し前に生涯を閉じた。一月の終わりのことだった。

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筆者: すなば
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チリはたまる、心は散らかる

在宅勤務が中心の生活になると、家事をよくするようになる。ここ一年間で急激に起きた生活の変化のうち、数少ない良かったことのひとつだ。

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武蔵小杉で夢を聞いてきた彼女のこと

入梅から数日経って、池の底にだんだん沈んでいくみたいに、初夏の熱く乾いた空気が日ごと湿って冷えていく。気温が下がりきると、今度は水温に慣れた体が内側から熱を帯びてくるようにじわじわ蒸し暑くなる。そんな日に僕は、普段は寄り付かない駅の近くで喫茶店に入って人を待っていたことがある。何年か前、大学を卒業してそんなに経っていない頃の、今日みたいな雨の日だ。

待ち人は歳の近い女性で、名前はもう覚えていないが仮にユミコとしよう。ユミコは大きな目と日焼けした肌が印象的な、活動的でかわいらしい感じの人だった。

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