「私、結婚できるのかなぁ」
Instagramを見たら高校生の時に付き合っていた女の子が結婚していた。特別な感慨もなくいいねをしてから1ヶ月くらい経った今、彼女が僕に別れを告げるとき「私、結婚できるのかなぁ」と言っていたのを唐突に思い出した。
本記事は加筆修正のうえ『さよならシティボーイ』に収録されています。WEBでの公開は停止しております。
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筆者: すなば
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大丈夫になった日
立ち上がると足が震えるほどテレビゲームをやって、エコバッグに財布だけ入れてアパートの外階段を下り自転車にまたがった。
暮れかかった空は薄青く、その色を写し取ったような涼気が辺りを満たしていた。
水彩画のような空に浮かぶ月を見た。満月に少し足りないその月は、空を満たす心地よい液体の海からゆっくりと浮上しつつその姿を現しているように見えた。
少し離れたセブンイレブンで蒙古タンメンのカップ麺を3個買った僕は、坂道を自転車で駆け下りながらまたその月を見た。
風は渦を巻きつつ僕の後方へ流れ、坂の下で自転車を止めると空気もまた水面のように静止した。
イヤホンを着けた太った男性と並んで信号を待っている間、僕は「大丈夫になった」と小さくつぶやいた。
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心に「ギャル」「OL」「ボーイ」を住まわせる
毎日を機嫌よく過ごすことから全てを始めなければいけないと思った。
複数のプロジェクトのピークが重なり会社で個人的繁忙期を迎えていた僕は、ここのところ激流を遡行する鮭のようにかろうじて毎日を生きていた。
朝起きる。シャワーを浴びる。会社に行く。会議会議作業昼会議会議作業作業会議作業作業夜22時。退社。食事を済ませて帰ると23時半くらいで、シャワーを浴びて支度を整えたらもう今日という日が暦上終わろうとしている。そんな日々だった。
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筆者: すなば
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