2018-01-01から1年間の記事一覧

眠る前の話

何かやり残したことがあるような気がして眠る気になれないのに、体が勝手に非生産的なことを始める。漫然とスマホをもてあそぶ。文庫本を開いてろくに読まないまま机に置く。ソファの上であぐらをかいたり足を下ろしたりする。音楽を聞きたくなってスピーカ…

傷つけられた人へ

誰かのしたことでちょっと傷つくことがあった。それを猛烈に批判する意見をTwitterで見かけ、ついその意見に乗っかって、傷つけられた悲しみを呟いて怒りを表明しそうになった。が、すんでのところで僕はそれをこらえた。地下鉄に揺られながら、何度も何度も…

「私、結婚できるのかなぁ」

Instagramを見たら高校生の時に付き合っていた女の子が結婚していた。特別な感慨もなくいいねをしてから1ヶ月くらい経った今、彼女が僕に別れを告げるとき「私、結婚できるのかなぁ」と言っていたのを唐突に思い出した。 本記事は加筆修正のうえ『さよならシ…

大丈夫になった日

立ち上がると足が震えるほどテレビゲームをやって、エコバッグに財布だけ入れてアパートの外階段を下り自転車にまたがった。暮れかかった空は薄青く、その色を写し取ったような涼気が辺りを満たしていた。水彩画のような空に浮かぶ月を見た。満月に少し足り…

心に「ギャル」「OL」「ボーイ」を住まわせる

毎日を機嫌よく過ごすことから全てを始めなければいけないと思った。複数のプロジェクトのピークが重なり会社で個人的繁忙期を迎えていた僕は、ここのところ激流を遡行する鮭のようにかろうじて毎日を生きていた。朝起きる。シャワーを浴びる。会社に行く。…

高校を卒業してから21歳になるまでの自分を殺してしまったことについて

初めて詠んだ自由律俳句は あんなカーテンがほしいと空を見てで、それが詠まれたのは高校2年生の春だった。その時習っていたこと、100m走のタイム、友人関係、ヒットソング、何一つ覚えていないけど、「あんなカーテンがほしいと空を見て」という句が生まれ…

エモいとは何なのか

気付けば皆「エモい」と言うようになっているがそもそも「エモい」ってどういう意味なんだろうか。という素朴な疑問に「古語の"をかし"や"あはれ"と同じだよ」みたいなことをしたり顔(想像) で返す人もいるが、微妙に納得できるようでできない。"をかし"が日…

幸せを問いかけてくれた人へ

少し前からTwitterで質問箱を公開していて、ゆっくりと答えている。質問に答えるというのはいつだって楽しい。今まで答えた質問の中のひとつに、こんなものがあった。 小さなしあわせを大事にするのは寂しいことですか? 回答する時もずいぶん悩んだけど、あ…

「笑ってもブス」

僕には弟子がいる。ここでは彼をN君と呼ぶ。どこでどのように弟子をとったのかとかそういう話は置いておいて、N君も自由律俳句をたしなんでいるのだが、彼は5年ほど前、弱冠19歳にして僕が生涯超えることのできないであろう傑作を詠んだ。 笑ってもブス この…

人が死ぬということ

大杉漣の訃報をニュース速報としてスマートフォンが受信したとき、僕は人のまばらなオフィスで残業をしていた。デスクでひとり控えめに驚いて、区切りのいいところまで仕事を進めて退社し、成城石井で夕飯を買って家に帰って食べた。シャワーを浴びて歯を磨…